コラム

アトピー性皮膚炎の新しい治療薬デュピクセント®

 アトピー性皮膚炎特有の皮膚の中から湧いてくるようなかゆみ、かゆみを我慢するストレス、なかなか他の人に伝わらないつらいことが多いです。今まではステロイドに頼るしかなかったアトピー性皮膚炎ですが、今新しい治療薬が続々と開発されています。デュピクセントはその最初の薬です。主に中等度、重度の症状の方が対象となります。

 デュピクセントはIL-4とIL-13というサイトカインの働きを直接抑えることで皮膚の2型炎症反応を抑制します。アトピー性皮膚炎特有の皮膚の中で起こる炎症反応を抑えることによって、かゆみが改善し皮膚炎を治療していきます。今までの治療でうまくいかなかった、通院が続かなかったなどでお困りの方にお使いいただきたい治療薬です。15歳以上の方が適応となります。

 発売されて1年ほどがたちますが、当初から治療を開始された方の現在の改善ぶりには驚かされます。外用では抑えきれなかった皮膚の中のもやっとした赤味が少しずつ改善されていくのを診療を通じて実感しています。ですが、デュピクセントを打てばすべて解決するという夢の薬ではありません。アトピー性皮膚炎は日常の生活環境や、習慣、その時のお疲れ具合など、様々な要因が絡み合って症状として出てきますので、日々のスキンケアはとても大切です。デュピクセントを打ちながら、抗アレルギー剤や適宜ステロイドの外用剤を併用する方法をとられている方が多い印象です。ですが、デュピクセントを使う前に比べると格段にスキンケアにあてる時間が減っている方が多いと思います。

 保険診療のお薬ですが、自己負担額が高額になってしまうため、医療費助成の対象となる場合があります。社会保険の方はお勤め先の医療保険の制度によって自己負担の上限金額が異なります。国民健康保険加入の方は各自治体によりますので健康保険証に書かれている保険者に問い合わせして、金額を把握されてからの受診していただいた方が診療がスムーズです。学生さんなどは学校が補助をしてくれる場合もありますので、各学校の学務課にお問い合わせください。

 当院ではデュピクセントの自己注射の指導を行っております。最初の2回当院で自己注射の方法について指導させいただきます。その後は何か月分かを自宅で継続していただきます。自己注射というと痛そう、針を見るのが怖いなどいろいろとハードルはあるのですが、通院のためにお仕事を休んだりというストレスがなくなりますので、はじめ少し勇気をだしてトライしていただければ長く続けられる治療法です。針をみないで打てる補助具などもありますので、いわゆる注射の動作をしなくても打てる方法がございます。わからないこと、不安なことございましたらご相談下さい。

 アトピー性皮膚炎の方の日常のストレスが少しでも軽減できればと思います。2019.5


じんましん(蕁麻疹)

 蕁麻疹(じんましん)は、突然赤みやかゆみをもった発疹ができる病気のことです。蚊に刺されたような発疹や、地図のようにみえる発疹、目や唇が腫れるようなものなど体のいろいろなところにできます。皮膚の中の免疫細胞がバランスをくずすと肥満細胞がヒスタミンとよばれる物質が放出されます。ヒスタミンが血管や神経に作用して皮膚のふくらみやあかみ、痒みを起こします。症状がひどいとのどが腫れてしまうため命にかかわることもあります。

 原因として有名なものは食物アレルギー性のものですが、実際に数は少ないです。ほとんどは風邪などのウイルス、過労による免疫バランスの悪化、薬などがきっかけで起こる特発性じんましんです。この他にもコリン性じんましん(痛みのあるじんましん)、物理刺激によるじんましん、血管性浮腫、寒冷じんましんなどなど多岐にわたります。そのため診断には専門の皮膚科医を受診することをおすすめします。慢性化してしまうと治療に数年かかってしまう場合もあります。

治すのであれば何となく薬を飲み続けるのではなく、しっかりと治療をすることです。

 以前は抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、ステロイドの内服などしか治療の選択肢がありませんでしたが、最近では最新の抗アレルギー剤、ロイコトリエン受容体拮抗薬、抗IgE抗体製剤「ゾレア」などがあります。今までの治療でも何となく治らないという状態が続いている方や、飲めば落ち着くけれど何だかいつも体がかゆい、普通の薬をのんでも全く収まらないなどの症状の方は新しい治療法に進むときかもしれません。

 また、原因についても様々なパターンがあることがわかってきています。アレルギーについて詳しい医師に相談することが大切です。

 当院では東京医科大学皮膚科アレルギー外来と連携しております。実は特殊なアレルギーだったり、特別な治療が必要な場合は、その分野の専門医へ適切にご紹介することができます。2019.6

脂漏性皮膚炎のスキンケア

 当院では脂漏性皮膚炎の方へのスキンケア指導をおこなっています。脂漏性皮膚炎は乳児期と思春期以降によくできるといわれていますが、日常診察していると幅広く全年齢の方にお越しいただいている感じがします。主に口、鼻まわりに強く出ますが顔全体、耳、頭皮、脇や股などにできます。時間がたつとべたべたして場所を想像していただくとわかりやすいと思います。

 原因は皮脂や化粧品の中に入っているトリグリセリドが皮膚常在の真菌、マラセチア菌に遊離脂肪酸に分解されて刺激物になることでおこる皮膚炎です。肌にぬった化粧品の中のトリグリセリドが時間がたって夕方ごろ遊離脂肪酸になると、なんだか肌がむずむずするという症状を起こします。夕方症状が悪化するとおっしゃる方が多いのです。

 当院では脂漏性皮膚炎の原因をしっかりご理解していただいて、常在菌を少しでもおさえる外用剤の継続的な治療と、油分の少ない化粧品を使用していただくよう指導しております。ノンオイルの化粧品としてNOVのAシリーズやアクセーヌのADラインをご紹介しております。基礎化粧品から油分を抑えるということも大切ですが、ファンデーションなどでもリキッドファンデーションなどは油分が多いため注意が必要です。脂漏性皮膚炎になりやすい方はそういったところを気にして化粧品を選んでいただくとよいです。

 よく、肌が弱くてどの化粧品をぬっても赤くなるという症状の方がいらっしゃいますが、油分が負担になっていてどの化粧品も合わないという方が多いように思います。化粧品の成分にかぶれているというアレルギーの方もいらっしゃるので皮膚科医の診断をお受けください。

 常在菌と油分、どちらも常に皮膚にあるものですし、必要なものでもあります。この2つが主な原因のため通常の湿疹などと比べてすっきりと治って再発がないということがないので、良い状態を維持してうまくお付き合いしていくということが大切です。

 菌が影響しているため体の免疫の状態もとても大切です。疲れていたり、寝不足だったり、不足、脂肪酸の多い食事なども影響します。状態がよくなれば外用の回数や間隔をのばすことが可能です。

 菌に対して強くなるためには皮膚のバリアー機能もとても重要になりますが、クリームを塗る=保湿と多くの方が考えがちなのですが、「保湿は保水」とご説明しております。水分量がとても大切なのです。化粧水でしっかり保水することが本当の保湿になります。(アトピー性皮膚炎の方など生まれつき皮脂成分が少ない方はしっかりクリームを塗っていいただきたいです。)

 脂漏性皮膚炎でお悩みの方はご相談ください。2019.8

季節の変わり目の帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛

 帯状疱疹は水ぼうそうのウイルスが原因でおこるります。水ぼうそうのウイルスは殆どの人が体の中に眠った状態でもっているのですが、過労やストレス、特に季節の変わり目には体の免疫力が低下しやすいため帯状疱疹を発症する方が増えます。癌や免疫不全を患っている方は発症しやすいですが、普通の状態の方でもよくおこる病気です。

 皮膚炎の前に痛みが先行することがありますので、皮膚に何もないのに痛みがでてきたなどの症状は注意してください。

 帯状疱疹は皮膚と神経を攻撃するため、皮膚の水疱や神経の痛みがでます。放置しておくと水疱が悪化して治ったあとも深い傷跡や色素沈着が残ったりします。特に気を付けなければいけないのは神経を侵す合併症です。

 帯状疱疹後神経痛といって、急性期の痛みが慢性の痛みに移行し、皮膚炎が治っても耐え難い痛みや、違和感、不快感が残ってしまいます。後遺症の中で最も頻度が高く、高齢の方ほど痛みが残りやすいため、早期の治療が大切です。

 顔に症状がでた場合は目の角膜炎、耳の難聴、めまい、耳鳴り、口の味覚障害などが起こる可能性があり注意が必要です。頻度は少ないですが重症の場合は運動神経のマヒが起こることがあります。顔面神経のマヒ、膀胱の神経のマヒなど日常生活に大きな影響をうけてしまうことがあります。

 これらのリスクをなるべく回避するためには、正確な診断と早期の治療ですが早期すぎると診断がつかないことがありますので注意が必要です。

 治療の基本は抗ウイルス剤の投与と痛み止めの内服です。

 痛みを無理に我慢していると脳が痛みを敏感に感じてしまうようになってしまうため、適切に鎮痛剤を内服することが帯状疱疹後神経痛を残さないようにするためにも大切です。また、神経痛は冷えに弱いため、エアコンや気温などで患部が冷えやすい状態になってしまうと痛みが出やすくなります。

 症状に合わせて適切な処方が必要ですので、ご相談ください。

巻き爪・陥入爪について

 足の親指の爪の湾曲が強く、爪の端が親指の皮膚を傷つけてしまい痛みがでたり、その傷から感染をおこして腫れあがってしまっている状態です。

 多くの場合爪の切り方に誤りがあります。足の親指の爪を切るときにはカーブをつけてはいけません。手の爪切りと足の爪切りを兼用している方が殆どだと思います。足の爪はストレートタイプの爪切りを使用して、爪の端には白い部分が残るようにまっすぐに切るようにしてください。

 爪の湾曲が軽度の場合はテーピングやグラスファイバーでの矯正治療(自費診療)が適応となります。また、爪の伸びの遅い方は漢方薬などで末端の血流を改善することも大切です。また爪白癬という水虫菌に侵されている場合もありますので検査をすることもあります。

 爪の湾曲が強く皮膚に食い込んで痛みがある場合は陥入爪処置(保険診療)が必要となります。当院では形成外科専門医がおりますので、陥入爪処置は当日行うことができます。患部の指を麻酔してからの処置ですので痛みから解放される方がほとんどです。

 巻き爪の原因については、切り方だけではありません。持って生まれた爪の弾力や厚さ、加齢、末端の血流の低下や、日常の歩き方の癖(足の親指の先までを使わない歩き方)、靴の選び方など様々な原因で起こります。

 痛みをがまんしていると症状が悪化したり、患部の足をかばって反対の足まで悪化するという悪循環がおきてしまいます。

 当院では爪を含めたフットケアも行っておりますので、違和感があるなと思ったらご相談下さい。(外反母趾については整形外科をご紹介させていただきます。)

 

顔のにきび・胸せなかのにきび

  にきび、されどにきびです。思春期だけでなく大人になっても悩まされます。原因は毛穴に住んでいる常在菌が原因のため、原因がとりのぞけません。そのため治療が長くつづきますし、日々の生活も重要になってきます。

菌に対しては免疫力が影響するため、寝不足、疲れ、ストレスなどで免疫力がさがると悪化します。また、常在菌が皮脂を分解してできる酸が炎症を起こしてしまうのでさらに毛穴の入り口が腫れて炎症をおこしやすい状態になります。顔にできる少し大きめの、痛みのあるにきびはアクネ菌という毛穴に住んでいる細菌が原因です。昔は抗生物質ぐらいしか治療の方法がなかったのですが、最近は毛穴のつまりを改善させる治療薬が保険適応となったので治療の選択肢が増えました。通常は毛穴のつまりをとる薬と抗生物質を併用していきます。

同じにきびにみえますが、口まわりやくび、胸、背中にできる細かい、あまり痛みのない小さいにきびはマラセチア菌という皮膚に住んでいる真菌が原因でできます。真菌が原因のマラセチア毛嚢炎という病気の場合は通常のにきび治療をしていても改善していかないことが多いのです。毛穴を詰まらせる原因を改善する薬を外用したり、真菌をおさえる外用剤を使用します。

生理前には皮脂の分泌が過剰になりやすく、皮膚がむくんでいるため炎症反応が強くでやすい時期ですのでにきびが悪化する方が多いのです。生理不順などある方、冷え性などがある方、炎症反応が続いてしまう方は通常治療に漢方薬を併用することで改善します。

男性の場合は皮脂の分泌が多いということも原因ですが、多くの方の場合髭が生えているために物理的に毛穴に刺激を受けやすく炎症を起こしやすいのです。自費診療になりますが、髭のレーザー脱毛も選択肢の一つです。

にきびの治療は保険診療から自費診療まで様々です。

またいらっしゃる方の治療の希望も炎症がおさまればいいや、という方から根本的な治療をご希望の方まで様々です。

当院でにきびでお悩みの方に幅広い治療をご提供させていただいています。

通院の間隔や、予算、治療のゴールがどの程度かによって治療法をご提案させていただいています。

皮膚のお悩みの度合いは人それぞれです。気になることはなんでもご相談ください。


注)現在日本の健康保険制度ではにきびの治療に保険診療と自費診療の混合診療は認められていません。そのため、保険診療の薬を出しながら、自費診療のピーリングをしたりということができません。自費診療を行う場合、にきびの治療に関してのお薬は全て自費診療となります。